こんにちは、簿記ニキです。
簿記3級を勉強していると、必ずぶつかる壁があります。
それが減価償却です。
教科書には「固定資産の価値が減っていく分を費用として計上する」と書いてあります。
でも正直、最初はこれを読んでも「なぜこんなことをするんだ?」って思いませんでしたか?
この記事では、教科書の説明ではピンとこなかった人向けに、減価償却の本質をわかりやすく解説します。
減価償却とは何か
減価償却を一言で言うと、こうです。
「消耗する固定資産のコストを、使用期間に公平に配分する仕組み」
ポイントは2つです。
- 固定資産は買った瞬間に全額費用にしない
- 使う期間にわけて少しずつ費用にする
なぜそうするのか、次のセクションで具体例を使って説明します。
なぜ減価償却が必要なのか
減価償却がない世界を想像してみてください。
不動産会社が1,000万円の物件を購入し、毎年300万円の家賃収入を得るケースで考えます(減価償却以外の費用はないものと想定)。
減価償却がない場合:
| 年度 | 売上 | 費用 | 損益 | 影響 |
|---|---|---|---|---|
| 1年目 | 300万円 | 1,000万円 | ▲700万円 | 大赤字 |
| 2年目 | 300万円 | 0円 | +300万円 | 急に黒字 |
| 3年目 | 300万円 | 0円 | +300万円 | 急に黒字 |
| 4〜10年目 | 300万円 | 0円 | +300万円 | 急に黒字 |
1年目だけ大赤字になり、翌年から急に黒字になります。これでは1年目に大損しているように見えてしまい、毎期の業績が正確に見えません。
減価償却がある場合:
| 年度 | 売上 | 減価償却費 | 損益 | 影響 |
|---|---|---|---|---|
| 1年目 | 300万円 | 100万円 | +200万円 | 安定 |
| 2年目 | 300万円 | 100万円 | +200万円 | 安定 |
| 3年目 | 300万円 | 100万円 | +200万円 | 安定 |
| 4〜10年目 | 300万円 | 100万円 | +200万円 | 安定 |
毎期200万円の利益として正確に見えます。物件を使って稼いだ実態がそのままPL(損益計算書)に反映されます。
これが減価償却の本質です。「毎期のPL(損益計算書)を正しく作るための仕組み」と理解しておきましょう。
実際に減価償却を計算してみよう
最もシンプルな計算方法が定額法です。
定額法とは、資産の価値が毎年同じペースで減っていくと考え、毎期同じ金額を費用として計上する方法です。
つまり「毎年同じ額を経費にする」イメージです。
毎年の減価償却費 = 取得原価 ÷ 耐用年数
先ほどの例(1,000万円の物件・耐用年数10年・毎年300万円の家賃収入)で計算すると、毎期の減価償却費はこうなります。
毎年の減価償却費 = 1,000万円 ÷ 10年 = 毎年100万円
そして仕訳はこうなります。
借方:減価償却費 100万円 貸方:建物減価償却累計額 100万円
毎年この仕訳を10年繰り返すことで、物件のコストが10年間に均等に配分されます。
おまけ:なぜ土地は減価償却しないのか
減価償却を理解すると、自然とこの疑問が出てきます。
「土地も事業のために買ったのに、なぜ費用に配分しないの?」
答えはシンプルです。土地は消耗しないからです。
数式で考えるとさらにスッキリします。
毎年の減価償却費 = 取得原価 ÷ 耐用年数
土地の耐用年数 = +∞(無限大)
減価償却費 = 取得原価 ÷ ∞
= 0
土地は劣化も消耗もしないため、耐用年数が無限大です。結果として各期への配分がゼロになります。だから減価償却しない、というわけです。
不動産投資では「建物は減価償却できるが土地はできない」という話をよく聞きます。その理由がこれです。
まとめ
今回のポイントをまとめます。
- 減価償却=消耗する固定資産のコストを使用期間に配分する仕組み
- 目的は毎期のPL(損益計算書)を正しく作るため
- 減価償却がないと1年目だけ赤字・翌年から黒字という歪んだPL(損益計算書)になる
- 土地は耐用年数が∞なので減価償却費はゼロ
教科書の「価値が下がる」という説明より、「費用を各期に配分する」という理解の方が本質をついています。この考え方を押さえておくと、他の会計概念もスッと入ってきます。

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